研究概要 |
本研究では、ダニ抗原の気管内投与と共にディーゼル排気ガスをマウスに吸入暴露し、ダニ抗原誘発性の喘息様病態が増強されるか否か、また、ダニ抗原に対して遺伝的に抗体発現の異なるマウスの系統(BALB/c, ICR, C3H/He)では、ディーゼル暴露による病態発現に違いが生じるか否かについて検討した。その結果、ダニ抗原による気道粘膜下への好酸球浸潤と気管支上皮細胞の粘液細胞化がDE暴露で増強され、その強さの順はBALB/c<ICR<C3H/Heマウスの順であった。この時、肺組織中のIL5やeotaxin等のサイトカイン類の誘導が認められ、これらの各マウスの誘導量と好酸球性気道炎症の程度とよく対応していた。一方、血中のIgE抗体価は誘導が見られず、IgG1はDE暴露によるアジュバント作用が観察された。その産生量もBALB/c<ICR<C3H/Hマウスの順であった。これらの結果から、ディーゼル暴露は感受性の高いマウスほどサイトカイン発現やIgG1抗体産生を強く誘導し、それによって抗原誘発性の喘息用病態を強く起こし、また、感受性の引いマウスほどこれらの誘導が低く、病態が起こりにくいことが明らかとなった。
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