研究概要 |
本研究では、ペルフルオロ脂肪酸をモデル化合物として、in vivoおよびin vitroでの輸送機構の解明を試みた。さらに化学物質の生体内輸送を評価するための培養細胞系を確立するための基礎的データの収集を行った。 ペルフルオロオクタン酸はラットの消化管から効率よく吸収された。反転腸管および小腸刷子縁膜ベシクルを用いた解析から、吸収には何らかのトランスポーターが関与することが示唆された。 一方、ペルフルオロオクタン酸は主として尿中に排泄され、その腎クリアランスは性ホルモンによって調節されていることが明らかとなった。種々のホルモン状態における腎クリアランスとmRNA発現量の解析から、ペルフルオロオクタン酸の尿中排泄には有機アニオントランスポーターであるOAT2,OAT3およびoatp1が関与することが示唆された。また、免疫組織染色により、異なるホルモン状態においてOAT3蛋白の発現がmRNA発現と相関することを見出した。 アフリカツメガエル卵母細胞に種々のトランスポーターを発現させたところ、OAT3とoatp1がペルフルオロオクタン酸を輸送することが明らかとなった。 以上の結果より、モデル化学物質の輸送機構が明らかとなったので、培養細胞に発現させてin vivoにおける種々の化学物質の輸送を評価する系を構築する準備が整った。
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