研究概要 |
1.キノコ生息土壌の物理的性状 富士山山麓のアカハツタケ、アキヤマタケ、アマタケ、ヒロヒダタケの生息土壌を採取し、土壌pH、土壌中^<137>Cs、^<40>Kを測定した。キノコ生息土壌(アカハッタケ、アキヤマタケ、アマタケ、ヒロヒダタケ)の土壌pHはそれぞれ4.4,4.0,3.5,5.2と大きく酸性に片寄っていた。また^<137>Cs濃度はヒロヒダタケ生息土壌で133.3Bq/Kg dry wt、他は503Bq/Kg dry wtであった。 2.生息土壌より土壌細菌の分離 生息土壌pHが低いことから、分離培地のpHを5,6,7に調整し、分離を行った。寒天平板上の集落の形態から、一般細菌と放線菌に分け菌数を測定した。96時間培養後の一般細菌数はpH7の培地上の集落数を1とするとpH6では1.61、pH5では1.15であった。一方、放線菌はpHの低下により菌数は減少し、pH7を1とすると、それぞれ0.54,0.50であった。一般細菌数はpH6で最も高い数値を示したが、放線菌はpHが酸性では菌数の減少が認められた。 3.土壌分離細菌のCsに対する挙動 生息土壌のpHに近いpH5の平板より分離した菌株について、pH5および7でのCs感受性を比較した。調べた土壌細菌のCs耐性株の多くは10mMまでは増殖可能であった。耐性値はpHにより変動し、放線菌ではpH5の方がCsに対する感受性が低い傾向が認められた。一方、一般細菌では逆に、pH7の方が感受性が低いという結果が得られた。更に、無作為に約40株を選び、pH5および7における^<137>Csの取り込みをオートラジオグラフにより比較した。^<137>Csの取り込み量の多い株、少ない株について所定濃度のCs添加培地での増殖、Cs,K取り込み量を測定した。この結果、Cs耐性であるがCs取込量の高い株も存在することが明らかとなった。
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