研究概要 |
1.キノコ生息土壌より分離した放線菌のCs取込:キノコ生息土壌より分離した放線菌株の多くは、Csに対する感受性が高く、培地中のCs濃度が25mM以上では分離されなかった。これらの菌株では菌体中に蓄積されるCs量は20mg/g dry wt mycelia程度であった。また、K202株を典型として、菌体内に蓄積されるCs,K量および増殖についてpH5と7で比較すると、同一濃度の培地中Csによる増殖阻害はpH7の方で強く現れ、Cs蓄積量の増加とK量の減少もpH7の方が強く現れた。 2.Kチャンネル阻害剤4-aminopyridine(4-AP)の影響:4-APを添加し、pH5および7でのCs取込量の変化を調べた。菌体内Cs,K量の減少、増殖阻害はpH7で4-AP量の増加と共に認められたが、pH5では4-AP量の増加と共に、K量の減少は認められたが、Cs量は増加し、増殖にも影響は認められなかった。 3.キノコ生息土壌より分離した細菌のCs取込:分離細菌のCs取込と増殖に対するpHの影響を調べた結果、生息環境に近いpHのほうでCsによる増殖抑制が強く見られた。また、細胞内Cs蓄積量は調べたいずれの菌株でも5mg/g dry wt前後であり、放線菌の1/4程度であった。 3.細胞内Csの局在化:土壌分離放線菌、細菌についてSEM-EDX観察を行った。いずれの場合も低真空SEMで観察すると輝点が観察され、輝点部分の元素分析を行うとP,0とともにCsが認められた。輝点以外の領域には、Csのシグナルは観察されず細胞内に局在化することによりその毒性が軽減されていることが示唆された。 4.ポリリン酸の関与:Csの細胞内局在化にポリリン酸の関与を推定し、検討を行った。^<31>P-NMRによりS.lividanns TK24にポリリン酸が存在する事を確認した。ポリリン酸合成に関わるpolyphosphate kinaseをコードする遺伝子ppkの破壊を試みている。
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