研究課題/領域番号 |
12680556
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
笛田 由紀子 産業医科大学, 産業保健学部, 助手 (10132482)
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研究分担者 |
福田 孝一 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50253414)
夏目 季代久 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (30231492)
保利 一 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (70140902)
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キーワード | 1-ブロモプロパン / 神経毒性 / 脳スライス標本 / GABA抑制 / LTP / 免疫組織化学 |
研究概要 |
ブロモプロパン(以下BP)は、医薬品・農薬・顕色剤の原料・にじみ防止剤・洗浄溶剤として使用されてきた。オゾン層を破壊する特定フロンが1995年までに生産全廃が決定されたことにより、その代替化学物質として、産業現場におけるBPの需要が高まっている。1995年、韓国の電子部品工場の労働者に、2-BP曝露による重篤な生殖機能障害が発生したことに端を発して、BPの生体影響の指標評価が急務とされている。1-BPを主な溶剤として使用したアメリカと中国の労働者が、中枢神経症状を訴えていることがはじめて報告された。しかし、1-BPの中枢神経障害は報告がきわめて少ない。我々は、1-BP(1500ppm、4週間)の吸入曝露による早期の神経回路機能障害が制御の減弱であることを報告した(Fueta et al,J Occup health,2000)。さらに、1-BP濃度を700ppmに下げて、長期12週間曝露し、その後4週間のクリアランスを行った。中枢神経系への毒性は、曝露されたラットの海馬スライスを用いて電気生理学的・免疫組織化学的手法により総合的に検討した。その結果、神経毒性として、GABA系抑制機能の減弱、NMDA型グルタミン酸受容体の過剰な活性化、および長期増強(LTP)の形成不全を観察した(平成13年度日本神経科学大会で発表、一部平成13年度日本産業衛生学会で発表)。Parvalbumin、GABA合成酵素、GABAトランスポーターの分布は、対照群と比べて顕著な差がみられなかった。1-BP曝露による機能変化は、曝露停止によって対照群レベルにもどった(平成13年度日本産業衛生学会九州地方会で発表)。これらの結果から、1-BPの神経回路機能障害は、関連機能分子の分布や細胞形態に影響しにくいもので、それゆえに、可逆的であり、回復したと考える。今年度実験結果は、曝露初期の段階から中枢神経機能変化が細胞レベルで起こりうることを明示しており、神経毒性評価指標として、脳スライス法は、産業化学物質慢性曝露の健康への影響を評価するうえで有用であることが示された。
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