昨年度採取したミヤマハンノキの種子を用いて実験室内で発芽させ、実験用の実生を育成した。その実生を用いて以下のような実験を行った。 種子および苗の実験として、(1)移植実験のための播種と苗の育成。(2)ミヤマハンノキの現地移植実験を行った。種子から発芽させた苗は移植時の6月には第2葉〜第3葉を持ち、直根は7〜10cmとなる。これを富士山の標高2000mの実験地に移植した。移植個体は夏期乾燥期を経過し、越冬前までに30%が残存した。 また、ミヤマハンノキの生態的特性を調査するため、(1)地下部を掘り起こし、大型の礫移動阻止状態の調査。(2)生長量の測定。(3)ガスクロマトグラフによる窒素固定能力の測定を行った。地下部には少量であるが、根粒菌が認められた。ガスクロマトグラフにより窒素固定能力を測定した結果、反応がわずかに認められた。2年目以降に増加することが予測される。 さらに種子に関する実験として、(1)種子の採取と採取方法の検討。(2)種子の保存方法の検討を行った。種子の採取時期については種子が完熟する10月以降で、11月後半に採取したものが最も発芽力が高く、発芽には3週間の湿潤処理が必要であった。また、自然落下する状態のものが発芽率が高かった。 上記の内容は、ほぼ完了した。平成12年11月に種子の採取を行い、それを保存して来年度の研究に使用できる状況ができている。
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