研究概要 |
本研究では放電重畳効果を適用した,パックドベッド型リアクタを用い,ディーゼルエンジン車搭載用モデルを構築することを目的とした。リアクタの基本構成は,平行平板電極を薄い誘電体で覆い,その間に均一な誘電体球を一層入れた構造とした。この構造では平板電極間等で無声放電が,誘電体球表面では沿面放電が発生し,同一空間で無声放電と沿面放電が同時に発生する放電重畳作用を有するものである。昨年度のNOx除去試験結果に基づき,本年度は誘電体球の材質を変えた試験を行い,最適条件で作成したリアクタの性能評価を確認した。また,ディーゼルエンジン模擬排ガスにより,実機モデルのNOx分解試験を行い,さらに排ガス中のカーボン粒子のリアクタ特性への影響や,電極をトレンチ型としNOx除去率について平行平板電極型と比較検討した。 得られた結果を,以下に示す。 (1)充てんする誘電体球の比誘電率は高いほど,NOx除去率は増加した。これは,比誘電率の増大につれ,球状誘電体部分の静電容量が大きくなり,空間部分の電界が強くなるためと考えられる。 (2)酸素を含む模擬排ガスを用いた場合には,N_2希釈NOガスをサンプルガスとした場合に比べ,NOx除去率が低下した。 (3)無声放電空間において,カーボン粒子は帯電し,交流電界の静電気力により電極上に捕集された。 (4)電極上にカーボン粒子が密に捕集され,大粒径粒子の再飛散がほとんどなく,高い集塵率を長時間維持できる。極板上に粒子が密に捕集される原因として,極板凝集抑制効果が考えられる。 (5)トレンチ型と平行平板型放電リアクタでは,トレンチ型の方が高いNOx除去率が得られた。これは鋸歯状電極を用いることにより,連続した高い放電プラズマ密度と低い放電プラズマ密度の場が得られるためと考えられる。 (6)鋸歯状電極の構造を変化させた結果,溝の深さが浅く,鋸歯状電極と誘電体板が接している場合に高い除去率が得られた。
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