研究概要 |
有機性副産物のリサイクルは、注目されている。有機性副産物由来炭素材料は、環境ホルモン用吸着剤として用いることが可能であった。有機性副産物である綿実ハルブランを窒素雰囲気下837Kで炭化後、さらに1123Kで水蒸気賦活した炭素材料を製造した。その比表面積は、市販の活性炭とほぼ同程度になった。炭化および賦活条件に依存した。炭素材料への4-ノニルフェノールの吸着等温線を測定した。そ毒の結果、平衡濃度20μg/L以上において賦活時間の長い炭素材料ほど、4-ノニルフェノールの吸着量は増大したが、平衡濃度1μg/L付近では、平均細孔直径の小さい活性炭において高吸着量を示した。さらに多孔性炭素材料は、空気雰囲気下炭化され製造された。低濃度における4-ノニルフェノールは、製造した炭素材料により高効率で除去することが可能であり、その吸着量は、炭素材料の細孔サイズに依存することが明らかになった。したがって、4-ノニルフェノールは炭素材料により容易に除去できることが示唆された。 次に,4-ノニルフェノールおよびビスフェノールAのシクロデキストリン(CD)溶液中における溶解度について検討した。4-ノニルフェノールおよびビスフェノールAのCD水溶液中における濃度は,CD濃度の増大に伴い,比例して高値を示した。4-ノニルフェノールのCD水溶液中における溶解度は,CDの内空半径およびヒドロキシプロピル基の置換度に依存した。さらに4-ノニルフェノール-CD包接化合物およびビスフェノールA-CD包接化合物は,オゾン処理により容易に分解され,さらに活性炭へも吸着されることが明らかになった。包接化合物は,オゾン分解により弱酸性の極性有機化合物へと分解されることが判った。したがって,CDの浄水工程への適用は,4-ノニルフェノールやビスフェノールAなどの内分泌撹乱化学物質除去効率の増強に使用できることが示唆された。
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