研究概要 |
本研究では主として2種の遺伝子組換え体、ファルネシルニリン酸(FPP)合成酵素、およびウンデカプレニルニリン酸(UPP)合成酵素を用い、これらの基質特異性とキラル合成について検討した。 アリル性基質として、ジメチルアリルニリン酸(DMAPP)、ゲラニルニリン酸(GPP)、およびFPPを用い、イソペンテニルニリン酸(IPP)ホモログとして、数種のE-およびZ-4-alkyl-IPP(alkyl基:methyl、ethyl、propel、およびbutyl基)を用いた。 1.(1)耐熱性FPP合成酵素を用いて、GPPとE-4-methyl-IPPを反応させると(S)-4-methyl-FPPが、またGPPとZ-4-methyl-IPPとの反応から(R)-4-methyl-FPPが得られることを確認した。 (2)GPPとE-4-ethyl-IPPとの反応では(S)-4-ethyl-FPPが得られ、Z-4-ethyl-IPPを用いるとそのエナンチオマーが得られることが分かった。収率の面からキラルシントンとして利用価値があると考えられる。 (3)GPPとE-4-propyl-IPPとの反応から(S)-4-propyl-FPPが数%の生成、Z-4-propyl-IPPでは、そのエナンチオマーが1%以下であるが生成することを確認した。 (4)4-butyl-IPPの場合は、E-4およびZ-体いずれも基質になり得なかった。 2.(1)DMAPPとE-およびZ-4-alkyl-IPPとの反応では、alkyl基がmethylおよびethyl基の場合にだけそれぞれ対応するキラルな1分子および2分子縮合物が得られた。 (2)DMPPとE-およびZ-4-propyl-IPPとの反応では、1%以下の収率であるが1分子および2分子縮合物が得られた。また、4-butyl-IPPの場合は、まったく生成物を与えなかった。 3.(1)Z型のUPP合成酵素を用いて、FPPとE-4-methyl-IPPを反応させたところ、ゲラニルゲラニルニリン酸(GGPP)型の(S)-4-methyl-GGPPおよびゲラニルファルネシルニリン酸(GFPP)型の(S, S)-4,8-dimethyl-GFPPが得られた。また、E-4-ethylおよび4-propyl-IPPの場合は、それぞれ対応するGGPP型の(S)-体生成物が得られた。 (2)Z-体ホモログは全く基質になり得ないことを確認した。
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