研究概要 |
チミジンの塩基部をシリル化し、さらに加熱することにより塩基部と糖部を分裂させた。糖部は目的とするデオキシリポース由来の1,2-グリカール体である。このグリカールと5-ヨードウラシルをカップリングし、さらに数段階の化学変換を経て2'-deoxypseudouridine(dΨ)を得た。このものは、チミジンと同様に保護、亜リン酸化してDNA合成用のアミダイトユニットとした.2'-deoxypseudouridineを含むデオキシリポオリゴヌクレオチド(ODN)は、上記アミダイトユニットを用いてDNA自動合成機を用いて合成し、天然型ODNと同様手法での脱保護、精製を行った。 一方、大腸菌由来のuraci-DNA glycosylase(UDGを)クローニングし、大量発現系を構築した。まず、2'-deoxypseudouridine(dΨ)を含むODNがUDGの基質にならない事を確認した。即ち、dΨ-を含むODNとUDGをインキュベートしたが、何の反応も進行しなかった。 次に、dΨを含むODNがUDGの反応に及ぼす影響を観察した。2'-deoxyurudune(dU)を含むODNを基質としてUDG反応を追跡した。dUを含むODNの5'-末端を32Pで標識し、UDGとインキュベートした後、アルカリ処理する事によりUDG反応で生成したアピリミジックサイトでODNを切断した。このものをポリアクリルアミドゲル電気泳動により展開し、オートラジオグラフィーを行った。dUを含むODNとUDGの反応系にdΨを含むODNを加えところ、基質の分解が遅くなった。これはUDGがdΨを含むODNに結合したことに対応するものである。言い換えれば、Ψを含むODNはUDGと結合するが基質にはならない、阻害剤としての働きを有していた。
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