研究課題/領域番号 |
12680596
|
研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
井上 謙一郎 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40025713)
|
研究分担者 |
林 宏明 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (50260998)
|
キーワード | 生合成 / シトクロームP450酸化酵素 / 水酸化酵素 / イリドイド配糖体 / ロガニン / ベンゾキノール配糖体 / コルノシド / 植物培養細胞 |
研究概要 |
本研究では、モノテルペノイド(イリドイド)配糖体およびベンゾキノール構造をもつ植物成分の生合成の関与するシトクロームP450モノオキシゲナーゼを中心とした酸化酵素の機能を明らかにすることを目的とした。 我々はインドールアルカロイドおよびセコイリドイド配糖体の重要な生合成中間体secologaninがP450酵素によるloganinの酸化的開裂により生成することを既に報告したが、今年度はスイカズラ培養細胞よりdeoxyloganinよりloganinに至る反応を触媒する水酸化酵素の生化学的諸性質を検討し、本酵素もP450モノオキシゲナーゼであることを明らかにした。さらに、本水酸化酵素の基質特異性を検討したところ、本酵素はdeoxyloganinの60%ではあるがdeoxyloganic acidも基質とし得ることがわかった。この事実より細胞内でのloganin生合成経路に関し疑問が生じたので、細胞に内在するメチル転移酵素の検出、部分精製を行った。この部分精製した酵素を用いて、その基質特異性を検討した。その結果、細胞内でのloganin生合成経路は7-deoxyloganic acidより水酸化反応が先行し次いでメチル化反応が起こりloganinが生成するという主経路と上記の反応順序が逆の経路が副経路として存在することが明らかとなった。このように酵素の基質特異性と細胞内での実際の生合成経路が一致しないという興味ある結果が得られた。 次にもう一つの特異な構造をもつべンゾキノール誘導体cornosideの生成機構をモクセイ科植物ウチワノキの培養細胞を用いて検討した。同細胞への投与実験および酵素実験を行い、p-hydroxyphenylethanolが配糖体化された後に、ヒドロキシラジカルが同配糖体のフェノール水酸基のパラ位にイプソ付加することによりcornosideが生成するという機構とその水酸化反応はシトクロームP450酸化酵素が触媒することを明らかにした。
|