研究概要 |
1.1型プロテインホスファターゼ(PP!)による翻訳制御 PP1は、リン酸化S6タンパクを脱リン酸化して翻訳を負に調節すると考えられている。2種類PP1の調節因子(NIPP-1,I-4)を単離してその性状を調べた。NIPP-1はある種mRNAのプロセシングに影響を与えることが分かった。現在その特異性、作用点を検討している所である。一方I-4は、PP1と3ヶ所で結合する、強力PP1阻害タンパクであった。 2.S6キナーゼ欠損マウスの解析 S6キナーゼの欠損マウスを作製することにより、S6Kキナーゼ2の存在が示唆された。現在S6Kキナーゼ2のノックアウトを作製し。そのフェノタイプを解折中である。さらに、2種類のキナーゼをダブルノックアウトしたマウスを作成中である。 3.S6キナーゼを制御する2A型ホスファターゼ(PP2A)の活性制御機構 PP2AはS6キナーゼのリン酸化(活性化)を抑える方向に働く。そのPP2Aの活性を制御するタンパク因子(I-2 PP2A)を単離した。I-2 PP2Aが、細胞周期のG1/Sにおいて発現の上昇が認められた。I-2強制発現細胞において細胞増殖が遅延することを明らかにした。 4.免疫抑制の研究 FK506はPP2B(カルシニューリン)を特異的に阻害する。FK506の免疫抑制機構を調べる為に細胞抽出液中のPP2Bの活性の測定法を確立した。 5.S6キナーゼと他の主要なシグナル経路とのクロストーク それぞれの経路に関わる新しい制御因子(MAPキナーゼにはMKP-7,JAK-STATにはPTPepsilon)を同定し、それらによる制御機構を明らかにした。
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