(1)大腸菌RNase Pの構成成分である"C5タンパク質"と"M1 RNA"をそれぞれ独立に大量調製し、in vitroで再構成して「試薬量」のRNase P標品を確保するための方法を確立した。"C5タンパク質"についてはHis-tag付きでクローン化した遺伝子から大量発現し、アフィニティーカラムにより精製した。"M1 RNA"は遺伝子を鋳型にT7 RNAポリメラーゼで転写して作製した。これらの試料調製に必要な紫外線吸収計と記録計は本年度設備備品費にて購入した。 (2)5'-末端側にextra配列を持つ酵母チロシンtRNA遺伝子DNA(野生型・変異型)を合成し、変異導入のための適当なプライマーセットと共にPCRして変異チロシンtRNA前駆体の遺伝子DNAを作成した。これを鋳型としてT7 RNAポリメラーゼで転写して変異チロシンtRNA前駆体を作製した。変異を導入する部位としては、本年度はアクセプターステム内とアンチコドンアーム内を優先的に行った。 (3)上で作製した変異チロシンtRNA前駆体を(1)のRNase Pを用いて切断して一連の変異チロシンtRNAを作製し、その塩基配列を解析して変異個所を確認した。 (4)これらの変異チロシンtRNAにつき酵母チロシル-tRNA合成酵素によるチロシン受容能を測定し、kcat/Kmを求めて正のアイデンティティー決定部位を確認する作業を継続している。
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