Apg7pは、オートファジーに必須な蛋白活性化酵素(E1)である。基質の一つであるApg12pはApg7pによって活性化された後、E2酵素であるApg10pを経てApg12p-Apg5pコンジュゲートを形成する。Apg7pはもう一つの基質であるApg8pを活性化し、Apg8pはE2酵素であるApg3pとの相互作用を経てオートファゴゾーム膜にtargetingする。両基質ともそのC末のグリシンとApg7pの活性中心のシステインとの間でチオエステル結合を形成する。異なる基質蛋白を活性化するApg7pのユニークな特性を理解するために、平成12年度の研究では、Apg7pの分子形態と酵素活性の関係に着目して研究を行った。 〈結果〉動物や酵母細胞のApg7pはサイトゾルに存在し、10〜40%グリセロール密度勾配遠心による分析や化学架橋実験から、分子量150〜160kDaのホモダイマーとして存在することを明らかにした。また酵母Apg7pの変異蛋白解析からホモダイマーが酵素の活性に必要であることを証明した。定常状態で内在性のApg7pダイマーが他のAPG遺伝子産物と複合体を形成していることを示唆する結果は得られなかったが、強発現系の解析から、Apg7pはApg3pと結合することが、また動物では、Apg8pのホモログであるLC3、GATE16、GABARAPの3つの蛋白を全て基質とすることが判った。この3つの内、LC3はオートファゴゾーム膜の成分であることが明らかにされている。したがって少なくともApg12pとLC3の2つの活性化がオートファジーに必要であることが明らかとなった。一方、GATE16やGABARAPについてはオートファジーとの直接的関連は解っておらず、オートファゴゾーム以外の膜形成に関わる可能性も有る。2年目の課題としてこれらの基質の役割についてもさらに解析を進めて行きたい。
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