Apg7pは、オートファジーに必要な10数個のAPG遺伝子の1つで、ユビキチン活性化酵素(E1)様の働きを持つ。ATP依存にApg8pとApg12pの2つの基質タンパクを活性化し、チオエステル結合を介した酵素基質複合体を形成する。Apg7pによって活性化されたApg8pは、E2酵素であるApg3pに受け渡された後、ホスファチジルエタノールアミン(PE)のアミノ基とコンジュゲートを形成し、オートファゴソーム膜にリクルートされる。一方、Apg7pによって活性化されたApg12pは、もう1つのE2酵素であるApg10pに受け渡された後、Apg5pとコンジュゲートを形成し、このコンジュゲートはオートファゴソーム前駆体を誘導する。初年度の研究で、Apg7pは、ホモダイマーとして存在し、Apg8pのE2酵素であるApg3pとE1・E2複合体を形成するというユニークな性質を明らかにした。この複合体形成の意義を中心にさらに他のタンパクとの相互作用にも注目して、2年度目の研究を行い、以下のことを明らかにした。 1)動物のApg8pホモログとして知られている3つのタンパク、すなわち、MAP-LC3、GATE-16、GABARAPのいずれもApg3p(E2)の基質となり得る。Apg8pホモログとApg3pの反応は、過剰なE1(Apg7p)存在下で促進されることから、E1・E2複合体形成が、Apg3pのE2としての働きに促進的な作用を及ぼしている可能性がある。 2)Apg12p-Apg5pコンジュゲート形成には、E1であるApg7pとE2であるApg10pが有れば十分と考えられてきたが、Apg3pを強発現させるとコンジュゲートが増加することが解った。これはApg12とpApg8pの2つのタンパクから開始されるタンパク結合反応の経路間のクロストークの存在を示し、大変興味深い。
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