研究概要 |
【骨格筋に発現するフルクトース2,6-二リン酸合成酵素のisoform特異的抗体の作成】 フルクトース2,6-二リン酸合成酵素には肝臓型,心筋型,精巣型,脳型の4つのアイソザイムの遺伝子が存在している。それらの一次転写産物は,組織特異的なスプライシングを受けることでさらに多様性を増し,最終的に15種類のmRNAを生じている。これらのmRNAのうち,肝臓型遺伝子由来のRM2K,脳型遺伝子由来のRB2K2,RB2K3,RB2K5,RB2K6,RB2K7,RB2K8の7種が骨格筋において発現していることを既に報告した。今回我々は,RT-PCR法を用いることで,心臓型遺伝子の産物であるRH2K4とRH2K6のmRNAも骨格筋に発現していることを明らかにした(Biochem.Biopys.Res.Commun.(2001)印刷中)。そして,これらの転写産物がコードするのアミノ酸配列はすべて異なっており,これらすべてを見分ける目的で,各isoform特異的な抗体を作成した。現在これを用いてWestern blot及び免疫組織化学的研究を行っている。 【フルクトース2,6-二リン酸合成酵素の酵素学的研究】 骨格筋で発現しているフルクトース2,6-二リン酸合成酵素のisoformの酵素的性質を調べる目的で大腸菌を用いた発現系を作成した。用いた発現ベクターは,pET14b,pET38(+),pGEX-2Tであり,RB2K2を発現させた場合,いずれのベクターを用いても培地1リットルあたり40mg以上の高収量を示した。特にpET14bは目的蛋白質のN末端にHisタグを付加するベクターであり,この産物をNiキレートカラムとDEAEセルロースカラムの二段階の精製で単一バンドにまで純度を上げることが可能となった。現在この酵素の精製と酵素的性質の解明を行っている。
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