我々は、RhoキナーゼのN末端に中間径フィラメント蛋白質ビメンチンのヘッド領域(VH)を付加したキメラ蛋白質と、VHのSer71のリン酸化を特異的に認識する抗リン酸化ペプチド抗体を用いて、Rhoキナーゼ活性をin vivoで検出するシステムを考案した。このシステムを用いてRho/Rhoキナーゼシグナル伝達系の活性化因子の同定を試み、神経系に強く発現するKIAA0380がRho特異的GDP/GTP交換因子(RhoGEF)であることを見出した。線維芽細胞を用いた強制発現実験でKIAA0380のDH/PH断片は細胞質中に分布し、ストレスファイバーの形成を誘導した。一方、DH/PHとそのC端側に存在するプロリンに富む領域を含む蛋白質断片は細胞膜の直下に局在し、cortical actinの再構築と細胞の球状化を惹起した。従って、Rhoの活性化に伴うアクチン再構成と形態変化が、RhoGEFの細胞内局在により制御される可能性が示された。さらに神経細胞Neuro2aにおいて、KIAA0380のN末端フラグメントを強制発現させたところ、リゾフォスファチジン酸(LPA)依存性の神経突起退縮が抑制された。従って、KIAA0380がLPA-G_<12/13>-Rho依存性の神経突起退縮を制御する可能性が示された。
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