研究概要 |
極端な酸性下(pH 0.9),グアニジン塩酸塩存在下でニワトリ卵白リゾチームの巻き戻り過程を円偏光二色性スペクトルを用いて追跡したところ、巻き戻り中間体としてモルテン-グロビュール状態が平衡の状態で観察された。速度論的にはpH2.2でもこの中間状態は観察される。平衡と速度のデータは単独のちゅうかんじょうたいが反応経路上に存在するon-pathway modelで説明された。 α-ラクトアルブミン、リゾチームの系統の巻き戻り中間体にnon-nativea名α-ヘリックスの存在を示唆するデータが知られている。この系統のタンパク質のβ-ドメインに存在する3番目のβ-ストランドは、2次構造予測によるとα-ヘリックスをとる傾向があることを示していた。ウマリゾチームの第3β-ストランドの親水性アミノ酸をプロリンに変換した変異体を作成してモルテン-グロビュール状態でのα-ヘリックス含量を評価したところヘリックス含量が数パーセント少なくなっていた。この結果は、リゾチーム、α-ラクトアルブミンの系統のfolding中間体にはnonn-nativeなα-ヘリックスが存在し、nativeな構造では第3β-ストランドである部分がモルテン-グロビュールではいったんα-ヘリックスとなることを強く示唆している。
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