研究概要 |
今回の研究は,蛋白質のフォールディングを-20〜-50℃で,蛍光,CD,X線散乱等をプローブとしたストップトフロー法により追跡し,初期過程に起こると思われるフォールディングコア形成,2次構造形成,球状化がどのような時系列で起こるのかについての知見を得ようというものであった。 1.アポミオグロビンでは,測定可能な範囲で行う限り,最初の過程は観察できないほど短い時間に終了していた。これは既にGruebeleらが温度ジャンプ法で得ている結果(マイクロ秒領域)と一致している。 2.βラクトグロブリン,ユビキティンなど,平衡状態でβ構造が多く存在する蛋白質の場合には,まずαヘリックスが形成され,その後フォールディングコアを形成し,その状態からβリッチな構造に変換していくという描像が得られた。これは従来考えられていなかった新しい概念であり,大きな成果といえる。現在発表の準備をしている。
|