研究課題/領域番号 |
12680666
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 特殊法人理化学研究所 |
研究代表者 |
城 宜嗣 理化学研究所, 生体物理化学研究室, 主任研究員 (70183051)
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研究分担者 |
中村 寛夫 理化学研究所, 生体物理化学研究室, 先任研究員 (80270594)
朴 三用 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助教授 (20291932)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | エチレン / 植物ホルモン / 二成分系 / ヒスチジンキナーゼ / 銅(I)錯体 / XAFS / センサー蛋白質 |
研究概要 |
エチレンは植物ホルモンとして、発芽、発根、実の熟成、落葉など、植物の生活環に深く関わっている。エチレンは植物細胞中に存在する受容体ETR1に結合することが、その生理活性発現の初発段階である。ETR1は二成分系と呼ばれる、生物に普遍的に存在する細胞内情報伝達系のセンサー蛋白質に属し、エチレン濃度を感知するセンサー部位とリン酸化活性を持つヒスチジンキナーゼ部位よりなっていることが分かっている。本研究では、ETR1のセンサー部位の存在するとされている銅(Cu^<1+>)がエチレン結合部位であることの直接的証拠を得ることは第一の目的とした。そのために、(1)三回膜貫通蛋白質であるETR1のセンサー部位を大腸菌で大量に発現する系を確立する、(2)その組み換えETR1センサー部位の精製法を確立する、(3)生化学的手法により蛋白質としての性質を調べる、以上の結果を基に、(4)エチレンの有無でX線吸収スペクトル(XAFS)を測定する、(5)XAFSの解析法を確立する、(5)単結晶作成を試みる、手順で研究を行った。約70%の精製度の組み換えETR1センサー部位を得る事が出来、CDスペクトル測定からαヘリックス含量を見積もる事が出来た。Cu-K-吸収端XAFSスペクトルがエチレンの有無で変化する事を見い出した。しかし、試料濃度が低いため、配位構造解析ができる程度の良質のスペクトルは得られなかった。そこで、量子化学計算DVXα法を用いて吸収端近傍のスペクトルから配位構造を推定する方法も開発し、いくつかの銅蛋白質(アズリン、プラストシアニンなど)の配位構造解析でテストした。単結晶作成は種々の条件で試みたが、微結晶は得られたが、単結晶までには至らなかった。一方、ETR1の属するセンサーヒスチジンキナーゼの一般的な性質を知るために、酸素センサー蛋白質FixLのセンサー部位と他のセンサー蛋白質のヒスチジンキナーゼのキメラ蛋白質を作成しその性質から、蛋白質内情報伝達の機構を議論した。同様の観点から、FixLの種々の変異体を作成した。
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