SELEX(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)によって選択される機能RNA分子、RNAaptamerの特徴を生かした研究方法を構築し、初期転写複合体の成立機構の解析を進めている。本年度は、昨年選別に成功した、TBP(TATA binding protein)に対するaptamerの結合様式を、表面プラズモン共鳴を用いた方法で解析する事から始めた。選択したそれぞれのaptamerは結合定数は10^<-7>から10^<-8>程度を示し、特異的に結合していることが明らかになった。次に転写に与える影響について、in vitroでの解析を行った。選択したaptamerは、転写を促進するものと転写を抑制し、短い転写物を蓄積するものの二種類に大別された。TBPに対するaptamerがこのような作用を示すことから、転写複合体中でTBPを核ととした因子の組み合わせにより、転写が調節されていることが示唆される。TBPに対するaptamerの効果は、転写複合体のなかで、TBPに結合している因子の結合を阻害あるいは強固にしたために生じたものと類推される。TBPのaptamer結合部位を解析する事により、転写複合体中での因子の結合状態、位置関係を知ることができる。現在、aptamerの構造をRNaseに対するマッピングより決定し、個々のaptamerについて結合部位を同定している。今後、aptamerを細胞内に導入する事でin vivoでの解析を進めると共に、in vitroで詳細な解析をおこなうことにより、転写複合体中の各因子の相互関係について明らかにしていく予定である。
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