DNA損傷に伴って特異的に誘起されるXPC蛋白質の翻訳後修飾がユビキチン化である可能性を検討するため、XP-C群患者由来のXP4PASV細胞でFLAG-XPCとHA-ユビキチンを同時に過剰発現した。この細胞抽出液からFLAG-XPCを免疫沈降することにより、XPCが細胞内でユビキチン化されうることが確認された。また、XPCの種々の欠失変異体を用いて同様の実験を行うことにより、比較的ユビキチン化を受けやすい領域が見いだされた。さらにこのユビキチン化の細胞内での機能を探る目的で、FLAG-XPCを生理的なレベルで安定に発現する細胞株を樹立した。これに紫外線や4-NQOなどの薬剤を用いてDNA損傷を与えると、クロマチン構造に強く結合するXPCの割合が増加する一方、ユビキチン化XPCの大部分は比較的穏和な条件でクロマチンから離れることがわかった。また、XPCのユビキチン化はG1/S境界からM期の間で、細胞周期に依存せずに起こることが示された。 XPC蛋白質と相互作用する新規因子を探索する目的で、酵母2ハイブリッド法によるスクリーニングを行ったところ、ユビキチン様蛋白質SUMO-1、およびその結合酵素であるUbc9が得られた。そこでユビキチン化の場合と同様にFLAG-XPCとHA-SUMO-1を同時に過剰発現することにより、XPCがSUMO-1化も受ける可能性があることが示唆された。 遺伝子ターゲティングによりHR23A、HR23Bを二重に欠損したマウス胎仔線維芽細胞を用いて、種々の変異HR23Bを安定に発現する細胞株を作成した。その結果、HR23BのN末端のユビキチン様配列はXPCの安定化、および損傷の除去活性そのものには必須でないことが明らかになった。
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