研究概要 |
本研究は、ショウジョウバェの光情報変換過程で中心的な役割を果たすeye-diacylglycerol kinase(eyc-DGK, RDGA蛋白質)の機能発現の機構を明らかにすることを最終目的としている。これまでの研究から、eye-DGKは光受容膜の近傍に存在する滑面小胞体subrhabdomeric cisternae(SRC)に局在しており、このことが機能発現と密接に関係していると考えられた。そこで、本研究では、eye-DGKの分子内のどの領域が細胞内局在や機能発現に必要なのかを明らかにする目的で、eye-DGK蛋白質の部分欠損分子を発現する系を確立した。germline transformationによる個体発現実験の結果から,eye-DGKの酵素活性部位よりC-末端側を全て欠損する蛋白質でも細胞内局在や酵素活性がほぼ正常であることがわかった。ところが,これまでの報告によると、eye-DGKの機能欠失突然変異alleleであるrdgA^<BS12>系統では、酵素活性部位から19アミノ酸残基分C-末端側にストップコドンが入っており、ここより下流のC-末端領域の欠損が機能欠失を引き起こしていると考察しており、今回の結果と矛盾することが分かった。そこで、rdgA^<BS12>系統において実際にどのようなeye-DGK蛋白質が発現しているのか調べるため、rdgA^<BS12>系統で発現しているeye-DGKのmRNAの解析を行った。その結果、ストップコドンの入っているエクソンをスキップして翻訳されたmRNAが発現していることがわかった。現在このmRNAについて、さらに詳細に配列を解析しているところである。 また、eye-DGKのN-末端領域にあるシステインリッチ領域を欠損すると、eye-DGKの細胞内分布が異常になり、酵素活性も無くなることがわかった。
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