研究概要 |
本研究はショウジョウバエ視細胞において光情報変換過程のキーエンザイムのひとつであるジアシルグリセロールキナーゼ(RDGA/DAGK2)の機能発現の機構を明らかにする事を最終目的とした。それまでに我々はRDGA蛋白質が視細胞の光受容部を構成する微絨毛の根元に存在する特殊は滑面小胞体網工(subrhabdomeri cistern, SRC)の周囲に局在することを突き止め、RDGAが光情報変換系のシグナル蛋白質群が局在する微絨毛に密接に位置することが、その機能発現の上で重要であると考えた。そこで、本研究ではRDGAの様々な改変蛋白質を遺伝子組み換えの技術を用いてショウジョウバエ視細胞で発現させ、発現蛋白質の活性や細胞内局在を調べることにより、生体内でのRDGA蛋白質の機能解析を行った。 RDGA蛋白質には酵素活性部位のN-末端側に2つのシステインリッチドメイン(CRD)が存在する。このドメインはDAG kinaseに共通して存在するが、その機能については殆どわかっていなかった。本研究では、CRDドメインを欠損するRDGA蛋白質の機能解析から、このドメインが蛋白質の細胞内局在と酵素活性に必須であることを見いだし、生体内でのDAG kinaseのCRDドメインの機能を初めて明らかにすることができた。また、RDGA蛋白質のC-末端に存在する4つのアンキリンリピートが蛋白質の細胞内局在や酵素活性には必要ではないことがわかった。このドメインについてはDAG kinaseの本来の機能とは別の働きをしていることがRDGAのほ乳類ホモローグであるDAG kinaseζの解析から示唆されており、RDGAにおいても同様の可能性が考えられた。このことについては今後の研究課題となった。
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