低分子量G蛋白質Rhoにより活性化されるリン酸化酵素ROCKの新規基質蛋白質の検索を、2次元電気泳動法を用いて進めている。 (1)Rhoを活性化させるLPAで神経芽細胞腫NIE-115細胞を刺激した時に、特異的にリン酸化される3つ目の基質蛋白質(約210KDa)の解析を行った。目的蛋白質を精製し、MALDI-TOF質量分析法により解析した結果、その蛋白質は、α-スペクトリンであった。その真偽を確かめるために、LPA刺激ごα-スペクトリン抗体を用いて免疫沈降を行った。しかし、LPA依存的にα-スペクトリンがリン酸化されるという結果は得られなかった。α-スペクトリンは高分子量蛋白質であるため、1次元目の等電点電気泳動用のゲルへの入り方にばらつきがあり、そのばらつきをたまたま見ていた可能性が考えられた。高分子量蛋白質の場合、2次元電気泳動法を用いてサンプル間での泳動パターンの違いを比較する実験は適さないと思われる。 (2)ラット肝ガン細胞MM1を用いて、LPA刺激依存的にリン酸化され、かつROCKの阻害薬Y-27632によって、そのリン酸化が減少するような蛋白質を検索したが、この2次元電気泳動法の系では見つからなかった。 (3)Swiss3T3細胞を用いて、同様の検索をした結果、TritonX-100不溶性画分に特異的にリン酸化される約25KDaの蛋白質を見い出した。現在、この蛋白質の解析を進めている。
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