研究概要 |
インテグリンの接着性を制御するシグナル伝達分子とその作用に応答するインテグリン細胞内領域を決定することによって、インテグリンファミリー特異的接着制御の分子的基盤を明らかにする。この目的のため、マウスproB細胞株Baf3にヒトLFA-1を導入し、ヒトICAM-1に接着する系を樹立した。このBaf3/hLFA-1は未刺激ではヒトICAM-1に接着できないが、活性化型Rap1,PKC, PI-3キナーゼの発現によって接着できるようになる。この系を用いて活性化型Rap1によるLFA-1の接着性上昇(活性化)に必要なLFA-1細胞内領域を決定した。活性化型Rap1の接着亢進効果に必要な領域はαL鎖細胞内領域、K1097,K1099が必須である。しかし、PMAに対する反応は阻害されない。一方、β2鎖細胞内領域欠失変異体では未刺激の接着レベルが亢進するが、活性化型Rap1に反応した。これらの結果からβ2鎖は接着性を抑制的に制御し、αL鎖細胞内領域はRap1による接着制御に必須であることが明らかになった。K1097に相当するアミノ酸はαM,αX、αD,α1,α2,α4,α6で保存されている。現在PKC, PI3キナーゼの接着亢進作用に重要な領域を解析している。Rap1の作用についてICAM-1をコートしたプレート上での細胞運動によって解析したところ、活性化型Rap1によって細胞運動の亢進が認められた。β2Y735はLFA-1のエンドサイトーシスモチーフとして働き、Y735A変異体はエンドサイトーシスが低下し、脱接着が阻害煮れた。このことからLFA-1のエンドサイトーシスが脱接着の重要な調節点となっていることがわかった。今後その調節機構を明らかにすると共に、他のインテグリンについても解析をする予定である
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