研究概要 |
赤芽球には、135kDaのprotein 4.1R(4.1R^<135>)と共にそのファミリー蛋白質である4.1Gも発現していることが、Western Blot法で明らかになった。4.1Gには、4.1R^<135>と同様に膜結合部位のアミノ末端部に209残基のポリペプチドが付加されている(head-piece, HP)。IAsys^<TM>による測定により4.1Gは成熟赤血球型protein 4.1R(80kDa、4.1R^<80>)と同様に、PDZ蛋白質p55と解離定数(K_<(D)>)〜10^<-7>Mで結合した。また、膜を貫通し、細胞外でヒアルロン酸と結合するCD44、赤血球膜貫通蛋白質であるglycophorinC(GPC)及びband3の細胞内ドメインとは各々、解離定数〜10^<-7>Mで結合した。 4.1GのHP領域はCa^<2+>依存性にCalmodulin(CaM)と結合し、その結合部位を同定した。4.1Gの全長及び4.1GのHPと膜結合部位30kDa domainの部分ポリペプチド(HP30)は、各々CaMとK_<(D)>は〜10^<-8>Mで結合した。Ca^<2+>とCaMの複合体(Ca^<2+>/CaM)が4.1Gに結合すると、4.1Gはp55、band3及びCD44とは全く結合できなくなった。また、Ca^<2+>/Caの4.1G、GPCとのK_<(D)>は〜10^<-6>Mであり、結合の親和性が低下した。 4.1RのExon10がコードするポリペプチド領域にCD44存結合部位が存在し、4.1RとCD44の結合は同じ領域に結合するp55の結合を阻害しないことから、CD44とp55は互いに異なるExon10がコードする領域に結合することが示唆された。この領域のアミノ酸配列は4.1Rと4.1Gでは同じであった。現在HP30の結晶化とその構造解析を推進中である。 近位尿細管には4.1Rファミリー蛋白質である4.1B(125kDa)が特異的に発現することが明らかになった(Gascard, P.博士による)。同じ場所に発現しているNa^+/H^+交換輸送体(NHE3)及びその調節蛋白質NHERF(2個のPDZドメインを有する)と4.1Bが結合しうることをIAsys^<TM>により明らかにした。更に、4.1BとCaMは、Ca^<2+>非依存性に結合すること、4.1BとNHERF結合はCa^<2+>/CaMの影響を受けないことを示した。
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