Heparin-binding EGF-like growth factor(HB-EGF)はEGFファミリーに属するヘパリン結合性の増殖因子である。HB-EGFは膜結合型(proHB-EGF)として合成され、TPA等の刺激によって細胞表面でプロテアーゼによる切断を受け、分泌型(sHB-EGF)となり、sHB-EGFはEGF受容体(EGFR)発現細胞に対して増殖因子活性を示す。これまでの研究から、HB-EGFは、その膜結合型が増殖抑制因子、分泌型は増殖促進因子として、それぞれ別個に機能し、さらにこの膜結合型から分泌型への転換が厳密に制御されていることが明らかとなっているが、これらのことはすべて培養細胞レベルでの実験によって明らかになったものであり、その生理的意義については未だ不明である。そこで、HB-EGFの生体内における実際の機能を解析するために、各種HB-EGF遺伝子変異マウスを作製し、そのマウスの表現型を詳細に解析することによって、HB-EGFの膜結合型、分泌型及びその転換機構の生体内での生理的機能を解明することを目標としている。 平成12年度中には、以下のマウスの作製まで進行している。 A)膜貫通部位欠失型変異HB-EGF(sHB)ノックインマウス B)非切断型変異HB-EGF(proHB)ノックインマウス C)ヘパリン結合部位欠型変異HB-EGF(△HB)ノックインマウス これらのマウスについては現在その表現型について詳細に解析中である。 D)HB-EGF組織特異的ノックアウトマウス 現在、組織特異的発現を目的として、loxPではさんだHB-EGFcDNAを発現するノック・インマウスを作製中である。
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