研究概要 |
I型に属するユビキチン様蛋白質はユビキチンシステムと類似した独自の酵素系で標的蛋白質に共有結合する.ユビキチンと最も相同性の高いRub1/NEDD8のE1様酵素はAPP-BP-1とUba3の異種複合体であり,E2様酵素はUbc12である.NEDD8の標的蛋白質はCullinファミリー蛋白質であり,それは多様なE3ユビキチンリガーゼのコアサブユニットである,NEDD8修飾系は真核生物を通じて保存されており,その生理学的意義を明らかにする目的で,まずUba3のノックアウトマウスを作製し多細胞生物における役割を解析した.また分裂酵母を用いた遺伝学的な解析も行ない,NEDD8修飾系がCullinファミリー蛋白質の機能に必須であることを明らかにした.その生化学的な分子機構については,まずCullin1をコアとするSCFユビキチンリガーゼを組み換え蛋白質として精製し試験管内ユビキチン化反応系を構築した.そしてNEDD8修飾系によるユビキチンリガーゼ活性制御を解析した.これらの結果からNEDD8修飾系はE2酵素をSCF複合体にリクルートし,ユビキチンリガーゼ活性を促進することを明らかにした.またノックアウトマウスの解析から,Uba3欠損マウスは早期胎生致死であり,NEDD8修飾系はホ乳動物の細胞周期制御や形態形成シグナルの制御に必須であることが判明した.
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