研究課題/領域番号 |
12680713
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久保田 洋 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40115837)
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研究分担者 |
木下 勉 関西学院大学, 理工学部, 助教授 (30161532)
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キーワード | 形態形成運動 / アフリカツメガエル / 原腸陥入運動 / champignon / STI1 / Hop |
研究概要 |
転写因子cpgがいかにして原腸陥入運動を阻害するのかを解明するために、本年はcpgおよびcpgのdeletion constructsを注入した胚と対照胚の蛋白を嚢胚期に抽出し、二次元電気泳動を行うことにより、cpg注入胚で影響を受ける蛋白について解析した。61kDa蛋白は、cpg注入胚では等電点がbasic側にシフトした。cpgよりも強い原腸陥入運動阻害効果をもつconstructの注入胚では、この61kDaの蛋白の等電点はよりbasic側にシフトした。一方原腸陥入運動を阻害しないconstructの注入胚では対照胚と変わらなかった。この結果から、61kDa蛋白はcpgの下流のカスケード上に位置する燐酸化蛋白であり、cpgの注入により脱燐酸化が起っていることが予想される。この脱燐酸化と原腸陥入運動の阻害との関係を調べることにより、原腸陥入運動の分子機構の一端が解明される可能性がある。そこで、61kDa蛋白の部分アミノ酸配列を調べた。その結果、リジルエンドペプチダーゼ消化後のペプチド断片のN末端アミノ酸配列23個が解った。この配列をBLASTpで検索した結果、Stress-induced-phosphoprotein 1(STI1)、Hsp70/Hsp90-organizing protein(Hop)、Transformation-sensitive proteinなどと呼ばれる一種類の蛋白と高いホモロジーをもつことが明らかになった。この蛋白はマウスやヒトでは約60-63kDaの分子量を示す燐酸化蛋白である。アフリカツメガエルの尾芽胚のESTデータベース中に部分アミノ酸配列が100%一致するSTI1ホモログがあったので、Xenopusで得られた61kDa燐酸化蛋白はXenopusのSTI1ホモログ(XSTI1)である。STI1はHSP70やHSP90に結合しその機能を調節するため、XSTI1の燐酸化状態の変化がchaperoneの機能を変化させ細胞骨格を調節することにより、原腸陥入を制御すると考えられる。
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