研究概要 |
1.FGF10は間充織メディエーターとなりうるか? 体内でアンドロゲンの影響を受けていないことがわかっている胎齢15.5日(♂,♀)、17.5日(♀)の野生型マウス尿生殖洞をFGF10存在下に6日間無血清培地で器官培養し、アンドロゲン非存在下に尿生殖洞に前立腺芽を発生させうるかどうかを調べた結果、いずれの尿生殖洞からも前立腺芽が発生した。FGF10は強い前立腺芽誘導能をもち間充織メディエーターとなり得ることが示唆された。 2.FGF10ノックアウトマウスの胎児はアンドロゲン存在下で前立腺芽を発生することができるか? 胎齢18.5日の野生型およびFGF10ノックアウトマウス(♂)胎児のヴォルフ管基部がついた尿生殖洞を3日間テストステロン存在下で器官培養した後、外植体の組織を調べた。野生型尿生殖洞は明確な前立腺と貯精嚢を形成したが、FGF10ノックアウトマウスの尿生殖洞では、上皮の増殖は活発であったにもかかわらず、そのいずれの器官も形成しなかった。このことは、FGF10が尿生殖洞からの前立腺の発生のみならず、ヴォルフ管からの貯精嚢の発生にも必須であることを示している。 3.TGFαノックアウトマウスの胎児はアンドロゲン存在下で前立腺芽を発生することができるか? 胎齢15.5日の雄TGFαノックアウトマウス尿生殖洞を、テストステロン存在下に6日間無血清培地で器官培養し、尿生殖洞に前立腺芽を発生させうるかどうかを調べた結果、野生型と同様に前立腺芽が発生した。 以上の結果は前立腺形成時のシグナル伝達にFGF10が大きく関与していることを示している。
|