Swaying(Wnt-1^<sw>)とUNC5h3^<rcm>マウスを胎生14日、生後0日、生後5日および成獣で比較した。胎生14日のUNC5h3^<rcm>マウスでは弓状の中脳とそれに連続する小脳の形成が観察されたが、Swaying(Wnt-1^<sw>)マウスでは中脳と小脳の形成はこの時期にはまだ観察されなかった。生後0日〜生後5日のUNC5h3^<rem>マウスでは中脳の変化は観察されなかった。また小脳では虫部の小葉の減少と小脳半球での下丘と小脳の融合がみられた。それに対し、Swaying(Wnt-1^<sw>)マウスでは小脳虫部前葉と中脳下丘の形成の遅れが観察された。さらにSwaying(Wnt-1^<sw>)マウスの生後5日での中脳と小脳前葉の融合はUNC5h3^<rcm>マウスより賢著である。成獣のUNC5h3^<rcm>マウスでは中脳の変化はみられないが、虫部の小葉の減少と小脳半球での下丘と小脳の融合が生後0日〜生後5日と同様に観察されるが、より明確であった。成獣のSwaying(Wnt-1^<sw>)マウスの中脳においては下丘の欠如が、小脳では半球での小脳前葉と中脳の融合、虫部の小葉の連続性の消失、中脳内への小脳神経細胞の侵入が顕著に観察された。 平成13年度の検索ではSwaying(Wnt-1^<sw>)とUNC5h3^<rcm>マウス中脳と小脳の形態変化を比較することにより、Wnt-1遺伝子(蛋白)により引き起こされる中脳および小脳の形態学変化の概要がより明確となった。これまで得られた小脳や中脳、オリーブ核の形態異常は小脳-中脳境界部の崩壊による2次的に生じてきていることが明確となった。
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