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前頭前皮質や視床背内側核(MD核)は、作業記憶などの高次脳機能に関連する興味深い領域である。これまでの研究で、両者間には興奮性単シナプス性フィードバック・ループが存在し、MD核からの興奮性入力は対側の前頭前皮質にも伝達されることを明らかにした。そして腹側被蓋野から前頭前皮質への抑制性シナプスが、この興奮性ループを調整、制御していることを明らかにした。さらに、形態上、皮質内抑制性インターニューロンと推測される小型非錐体細胞も抑制系の一部として、この神経回路網に係わっている可能性が示唆された。このため、今回の研究において、前頭前皮質-MD核間の興奮性神経回路に皮質内抑制性インターニューロンがどのように係わっているのかを神経標識法と包埋後免疫電顕法を組み合わせることによって明らかにすることを目指している。
MD核に順行性トレーサーとしてPHA-Lを注入して視床皮質線維を標識し、GABA陽性構造を標識するためには前頭前皮質を含む超薄切片に金コロイド粒子を用いる包埋後免疫電顕法を施した。その結果、GABA陽性ニューロンは小型で樹状突起はほとんど棘を持たない形態を示し、MD核からの神経終末との間に非対称性シナプスの形成が観察された。このような形態学的証左は、前頭前皮質とMD核間の興奮性回路に皮質内抑制性インターニューロンが介在しており、興奮性皮質視床ニューロンを抑制するfeedforward inhibitionが視床皮質入力によって引き起こされる可能性を示している。
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