研究課題/領域番号 |
12680755
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山田 康枝 山口大学, 医学部, 助手 (00166737)
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研究分担者 |
高 知愛 山口大学, 医学部, 助手 (70314797)
木村 佳弘 山口大学, 医学部, 講師 (90301308)
乾 誠 山口大学, 医学部, 教授 (70223237)
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キーワード | NMDA受容体 / PSD-95 / MALS-2 / PDZ protein / アフリカツメガエル卵母細胞 / PKC / Src / インスリン |
研究概要 |
本研究は、細胞膜骨格蛋白質との直接の相互作用によりNMDA受容体チャンネルがどのような活性制御を受けるかを解明し、シナプス伝達およぴ細胞内情報伝達系での役割を明らかにすることを目的としている。 今年度は、NMDA受容体の他の2つのサブタイプである小脳に特異的に発現しているε3/ζ1サブタイプNMDA受容体(ε3/ζ1)と胎児期に主に発現しているε4/ζ1サブタイプNMDA受容体(ε4/ζ1)についてPSD-95の効果を検討した。また後シナプス肥厚部に存在するPDZdomainタンパク質MALS-2(mammalian LIN-seven protein-2)についてPSD-95と同様にアフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて、NMDA受容体チャンネル活性に及ぼす効果をPSD-95の効果と比較検討した。MALS-2はPDZdomainを介してNMDA受容体のC末端に結合してその集合化を引き起こすことが知られている。 ε1/ζ1およびとε2/ζ1はプロテインキナーゼCによって活性化されPSD-95が共存すると、その活性化は抑制される。しかし、ε3/ζ1とε4/ζ1では共にTPAによる活性化は見られず、PSD-95が共存しても変化はみられなかった。ε1/ζ1およびとε2/ζ1ははインスリンによって活性化され、PSD-95が共存すると、その活性化は抑制される。ε3/ζ1とε4/ζ1はインスリンによって活性化されPSD-95が共存すると、その活性化は抑制された。ε1/ζ1およびとε2/ζ1とは存在する細織や時期が異なり、受容体の性質も異なるε3/ζ1とε4/ζ1もPSD-95によって機能的に制御されていることが示唆された。 MALS-2は、ε1/ζ1とε2/ζ1受容体チャンネル活性を有意に増加させた。ε2/ζ1受容体のグルタミン酸に対する感受性を低下させたが、その効果はPSD-95よりも弱かった。PSD-95はε1/ζ1とε2/ζ1NMDA受容体のプロテインキナーゼC及びインスリン、活性化を抑制したが、MALS-2については活性化の抑制は認められなかった。PSD-95はε1/ζ1NMDA受容体のSrcによる活性化を抑制したが、MALS-2については活性化の抑制は認められなかった。MALS-2は同じPDZdomainタンパク質であるPSD-95とは全く異なった形式でε1/ζ1およびε2/ζ1サブタイプチャンネルの活性を機能的に制御していることが示唆された。
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