研究課題/領域番号 |
12680757
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
高橋 聖一 高知医科大学, 医学部, 助教授 (40271093)
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研究分担者 |
奥谷 文乃 高知医科大学, 医学部, 助手 (10194490)
氏原 久充 高知医科大学, 医学部, 助教授 (00213421)
椛 秀人 高知医科大学, 医学部, 教授 (50136371)
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キーワード | complexin / long-term potentiation / schizophrenia / hippocampus |
研究概要 |
1)complexin II knockoutを用いた行動解析:Complexin II knockoutマウスでは海馬LTP(長期増強)が低下している(Eur.J Neurosci 11:2359-2366,1999)。LTPの低下は学習行動の低下としてあらわれる可能性がある。そこでComplexin II knockoutの学習行動をモーリス水迷路を用いて解析した。しかし野生型との有意差はみられなかった。これまでいろいろなknockoutマウスの学習行動を総合した最近の報告によるとCA1-LTPが50%以下にまで低下しないと学習行動に異常は現れない。このことからcomplexin II knockoutマウス(CA1-LTP低下率40%)では異常がみられなかったものと考えられる。現在、ストレス状況下での学習行動およびLTPについて検討を始めている。またcomplexin II knockoutマウスの新規環境暴露、MK-801およびメタンフェタミン投与における移所行動を調べた。メタンフェタミン皮下注射(4mg/kg)での移動量はknockoutマウスにおいて有意に増加していた。今後さらに追加実験を行う予定である。 2)ヒト分裂病患者の前頭葉におけるcomplexin I, IIの発現:Complexin IIはヒト分裂病の海馬においてその発現が有意に低下していることが報告された。そこでカナダUBC(British Columbia大学)との共同研究において、ヒト分裂病(統合失調症)および躁鬱病患者の前頭葉でのcomplexinの発現を調べたところ、統合失調症でcomplexin I発現が有意に低下していた(Molec.Psych.:in press)。さらに海馬での発現を調べたところやはり統合失調症においてcomplexin IIの発現量があきらかに低下していた(投稿中)。これらのことからcomplexinがヒト統合失調症の発病になんらかのかたちで関与していることが考えられる。今後患者遺伝子を採取しcomplexin遺伝子のSNP解析をする予定である。
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