研究概要 |
AMPA受容体のカルシウム透過性はGluR2の発現と逆相関することが知られている。各種サブユニットを発現させ、細胞生存、及び局在パターンとAMPA受容体のカルシウム透過性の連関を解析している。 1、PC12細胞にアデノウイルスベクターを用いて、GluR1,2,2Q(GluR2のRNA非編集型)を発現させ、生細胞数を調べたところ、GFPを発現させたコントロールに比べ、GluR1は細胞数の減少を、GluR2/GluR2Qは細胞数の増加をもたらす傾向を見い出した。GluR2、GluR2Qでは変化がなかった。Fura-2によるカルシウムイメージングによって、AMPA刺激による細胞内カルシウム濃度上昇量を測定したところ、GluR2Q>GluR2/GluR2Q>GluR1>GluR2であった。GluR1のカルシウム非透過型変異体は、生存率低下は抑制されたことから、GluR1による生存率低下は、そのカルシウム透過性によることが示唆された。今後、よりカルシウム透過性の高いGluR2Qで生存率の低下がおこらないのか、GluR2/GluR2Qで生存率が上昇するのはどのような機序か、明らかにする必要がある。 2、AMPA受容体の局在をライブで検出するために、N末いGFPを融合したGluR1、GluR2、GluR2Qを発現するアデノウイルスを作製した。ラット初代神経細胞に感染させところ、GluR2,2Qではスパインに集積することが観察された。一方、GluR1は、スパインへの集積が極めて少なかった。従って、サブユニットによって局在の程度が制御されていることが示唆された。
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