研究概要 |
AMPA受容体は興奮性シナプス伝達の主要な担い手であり、GluR1-4サブユニットのテトラマーから構成されている。特に、GluR2サブユニットが構成成分に入らないと、チャネルのCa2+透過性が高くなる。最近、海馬介在ニューロンで、同一細胞でも入力線維の違いによって、樹状突起において、Ca2+透過型と非透過型受容体がわかれて存在することが示された(Toth et al.,1998)。このことは、mRNA、蛋白の発現レベルに加えて、各サブユニット蛋白の特異的な局在が重要であることを示している。そこで、本研究では、AMPA受容体の、GluR1,2サブユニットの局在の制御機構を解析することで、Ca2+透過型、非透過型を決定するサブユニット構成のできかたを明らかにすること、およびその結果ひき起こされる細胞機能の変化をあきらかにすることを目的とする。 1)これまでわれわれが、ウエスタンブロットを用いて明らかにしてきた、"BDNF慢性投与によるGluR1,2の蛋白増加、細胞表面出現増加"の実態をあきらかにするために、GluR1,2の細胞外認識抗体と細胞内認識抗体を用いて多重染色をおこなったところ、BDNFによってGluR1優位に増加するニューロンとGluR2優位に増加するニューロンが見い出された。 2)mycYEP-GluR1,mycGEP-GluR2,mycGFP-GluR2Q発見アデノウイルスを作製した。これを用いて、カルシウム結合蛋白Calbindin28kの共存下において膜表面への発現が増加することを明らかにした。 3)GluR1,2およびその変異体をPC12細胞に発現させ細胞生存に及す影響をSF活性、LDH活性測定により解析した。その結果GluR1発現によって細胞生存が低下すること、またGluR2Q/GluR2発現によって促進するこを見い出した。
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