研究概要 |
1)ラット前脳においてこれまで、多重染色法を駆使し、ラット大脳皮質(体制感覚野)においてcalbinding28k陽性ニューロンはGluR1、GluR2を発現し、par-valbumin陽性ニューロンはGuR1を発現しているが、GluR2は発現していないことを見い出した(Kondo et al.,1997)。引き続き、この解析を前脳領域にひろげ、さらに定量的解析を加えることで、calbindinD28k陽性ニューロン、'parvalbumin陽性ニューロンはいずれもGluR1/GluR2発現比が高く、カルシウム透過型AMPA受容体を有することが推定された。初代培養ニューロンにFura2によるカルシウムイメージングを用いた解析より、カルシウム透過型AMPA受容体を機能的に同定することに成功した(添付論文)。 2)ラット片側眼球摘出により、投射側のGluR2発現が低下することを見い出した。これは、AMPA受容体の発現が入力に依存していることを示唆している。 3)BDNF処理により、GluR1,2の蛋白量は増加するが、個々のニューロンでの発現を2重染色により調べたところ、GluR1優位に増加するものと、GluR2優位に増加するものに2分された。機能的な解析のためにFura2によるカルシウムイメージングをおこなったところカルシウム透過型AMPA受容体の増加が明らかとなった。 4)GuRl,2,2QにGFP蛋白を融合した蛋白を発現するアデノウイルスベクターを作製し、神経細胞に発現させ、リアルタイムで発現を観察できること、さらに固定前、後に細胞外ドメインに対する抗体を用いることによって、細胞膜上にある部分と、細胞内にある部分を可視化することができた。この系をもちいて、カルシウム結合蛋白calbindinD28k存在によってGluR2Qは細胞膜上に出現が促進されていることを見い出した。
|