申請者のこれまでの研究から、電位依存性N型Ca^<2+>チャンネルは、1)チャンネルα1BサブユニットC末端とG蛋白質αサブユニット(Gα)との、2)α1BサブユニットのリピートI-II間の細胞内ループ(loop-1)とG蛋白質βγサブユニット(Gβγ)との、双方の直接的な相互作用により抑制を受けることが示唆された。この結果を踏まえて、N型チャンネル側はその活性を温存したまま、α1BC末端あるいはloop-1に、Green Fluorescent Protein(GFP)変異種のEYFPあるいは新規のRed Fluorescent ProteinであるDsRedを組み込んだEYFP/DsRed-α1Bを作製した。一方、G蛋白質側は、GoαのN端(lipid修飾部位の後方)とGβ1のN端に、GFP変異種のECFPまたはDsRedを組み込んだECFP/DsRed-GoαあるいはECFP/DsRed-Gβ1を作製した。これらEYFP/DsRed-α1B、ECFP/DsRed-G蛋白質を、予め外来性のCa^<2+>チャンネルα2、β1サブユニットが安定に発現しているBHK細胞(BHK6細胞)に発現させたところ、α1Bサブユニットは、EYFP/DsRedの融合部位に関わらず、細胞膜と細胞内小胞にパッチ状に発現し、Goα、Gβ1は細胞膜と核を除く細胞質で均一な発現パターンを示した。さらに、両者を共発現させると、これら2つの発現パターンが重層した。BHK6細胞に、δオピオイド受容体、G蛋白質、N型チャンネルの3者を共発現させ、ECFP(donor)-EYFP(acceptor)間のFluorescence Resonance Energy Transfer(FRET)解析を行ったところ、α1BサブユニットC末端にEYFPを組み込んだEYFP-α1BとECFP-Goαの組み合わせで、ECFPの蛍光強度に対するEYFPの蛍光強度の比(EYFP/ECFPの比)が、受容体刺激により経時的に変化した。以上により、実際に生細胞の中で、GαがN型チャンネルα1BサブユニットC末端と直接的な相互作用をすることが明かとなった。この内容の論文原稿を現在作成中である。
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