研究概要 |
哺乳類におけるボンベシン様ペプチドには、ガストリン放出ペプチド(GRP)とニューロメジンB(NMB)があり、脳神経系や消化管に存在し、生体の機能調節に重要であることが示唆されている。受容体としては、GRP受容体(GRP-R)、NMB受容体(NMB-R)、そして第3の受容体であるBRS-3が明らかとなっている。本研究では、ボンベシン様ペプチドの個体における機能の全貌と、その作用機序を解明することを目的として、これらの受容体を過剰発現するモデル動物を作成することにより、過剰発現時の病態生理を把握することをめざしている。今年度は、これらの受容体を鳥類胚で過剰発現させることにより、特に脳神経系の発生における受容体の役割について検討を行った。そのために、まずニワトリ脳のcDNAからデジェネラティブプライマーを用いたPCR、そして3'-,5'-RACEをくみあわせることにより、GRP-RとBRS-3.5のクローニングに成功した。それぞれ、哺乳類のGRP-R、また、哺乳類のBRS-3あるいは両生類のBB4と呼ばれるボンベシン様ペプチド受容体に相同性が高く、鳥類においてもボンベシン様ペプチド系が存在することが確認できた。そして、マウスの3種類の受容体を、強制発現ベクターを用いて一過性に、あるいはレトロウィルスを用いて長期的に発現させるようなベクターを構築し、孵卵1.5日目のニワトリ胚脳原基への発現を試みた。これらの胚は孵卵開始後12日まで発生させて固定し、現在、どのようなフェノタイプが見られるかについて解析中である。
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