研究概要 |
1.NMB-R及びGRP-R両遺伝子を欠損したマウスの作製と解析:NMB-RとGRP-R遺伝子の両方がヘテロ型(+/-)である雌マウスと、NMB-Rがヘテロ型(+/-)である雄マウスを交配することにより、雄のダブルノックアウトマウスと、雄の野生型マウスを得た。ノックアウトマウスの表現型は野生型マウスと比較して際だった変化は見られず、また変化があってもGRP-RまたはNMB-Rの単独欠損マウスに見られるものと変わらなかった。 2.NMB-R, GRP-R. BRS-3過剰発現鳥胚の開発:各マウス型cDNAのC末端に発現のモニターを可能にするEGFP(クラゲ蛍光色素)遺伝子を結合して、増殖型のレトロウイルスをベクターとしたコンストラクトを作製した。ウイルス粒子を調整しウイルス感受性ニワトリ胚脳原基に感染させたところ、広範に強い発現が見られた。遺伝子導入したトリ胚は胚発生後期に灌流固定を行い、凍結切片を作製して表現型を解析中である。 3.鳥類におけるボンベシン系の解析:鳥類における類似のペプチド系の存在を明らかにする目的で、デジニネレートプライマーを用いたRT-PCRによって、ニワトリ脳からGRP-Rと、別にBRS-3とBB4にホモロジーの高い2種類の受容体をクローニングし、それぞれchGRP-RとchBRS-3.5と名付けた。in situハイブリダイゼーションを行ったところ、chGRP-Rは視床下部などの前脳の限られたところに発現しているのに対しchBRS3.5は前脳の線条体を中心とした広範囲で発現しているものの、小脳や脳幹には発現が見られなかった。この結果より、ボンベシンペプチド系は種を越えて存在し、鳥類においても哺乳類と同様の重要な機能を担っている可能性が示唆された。
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