研究課題/領域番号 |
12680770
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
柿田 明美 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (80281012)
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研究分担者 |
山田 光則 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (30240039)
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90206839)
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キーワード | グリア芽細胞 / 細胞移動 / 未分化細胞 / レトロウィルス / 蛍光分子 / subventricular zone |
研究概要 |
中枢神経系の発生過程における神経芽細胞・グリア芽細胞の移動メカニズムを解明する目的から、これら未分化細胞とラジアルファイバーの移動・運動動態を生きた状態で直接観察する研究を実行中である。本年度末までに、以下の研究を行った。 1.シアン色および黄色蛍光のcDNAをコードしたレトロウィルスベクターの作製。 pECFP-Mem及びpEYFP-Memベクターから、シアン色及び黄色蛍光のcDNAフラグメントを切り出し、これをレトロウィルスベクター(pQNCX-2及びpLNCX-2)に組み込んだ。これらウィルスベクターをパッケージング細胞株(EcoPack293)にtransfectionし、薬剤耐性及び細胞株の蛍光強度を指標に、導入遺伝子が安定に発現している細胞株を選定した。NIH3T3細胞株を標的細胞としたウィルスの力価検定を行い、最も高力価のクローンを単離した。これらは安定かつ十分な蛍光強度を有し、かつ互いに識別可能な色調を発することを確認した。この結果、目的とする2種類のレトロウィルスベクターの作製に成功した。また、超高速遠心により、感染力価が1x10^6CFU/ml程度のウィルス含有液を作製した。 2.subventricular zone(SVZ)及び脳室内へのstereotactic injection。 マイクロマニプュレイターを用い、出生当日のラット(P0)の前脳片側SVZ及び脳室内に上記レトロウィルス含有液をstereotacticに微量注入する方法を確立した。即ち、新生児の頭頂部及び対側側頭部からの2方向性アプローチにより、SVZおよび脳室内にそれぞれ1,10μlのウィルス液を注入する条件を見出し、児が術後も安定して生育し得ることを確認した。 3.生鮮スライス培養。 tissue chopperを用いて250μm厚の生鮮脳冠状断スライスを作製し、スライスごと培養する系を確立した。また、これらスライス内の蛍光シグナルを捕らえるフィルターを備えた倒立顕微鏡のセットアップを終了した。 4.上記の予備的実験を終了し、次年度には蛍光分子で標識された細胞・構造物の動きを生きたスライス内で観察し、これら動態とその関連性を明らかにする計画である。
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