研究概要 |
[目的]線条体は報酬に対する期待や欲求に関わっていることが、これまでサルやラットを用いて電気生理学的に示されてきた。しかしこれらにドーパミンニューロン及びセロトニンニューロンがどのように直接関わっているかとなると未だはっきりしていない。本実験では、これを直接明らかにするためにラットにレバー押し課題を学習させ、レバー押し前後のドーパミン及びセロトニン放出変化を線条体において250msごとにIn vivo voltammetry装置を用いて直接測定し、ドーパミン及びセロトニンの作用を明確するため実験を行った。[方法]脳定位固定装置にラットを固定し、片側線条体に測定用の電極を入れ、参照電極,修飾電極を硬膜上固定した。手術1ケ月以降、無麻酔・無拘束下で学習実験を行った。まず、ラットをskinner boxにいれ、レバー押し課題を学習させた。報酬はfood (pellet)を用い、音によるcue刺激後、ラットはレバーを押すと1個のpelletが得られるようにした。1回のsessionで20回、30分間隔で1日に5session行い、この時のレバー押し前後におけるドーパミン、セロトニン放出を200msごとに測定した。また、6ヶ月以上にわたって学習課題を遂行しドーパミン放出変化を測定した。[結果]線条体ドーパミン放出は、cue刺激開始後に直ちに一時的に低下したが、すぐに上昇してゆき、レバー押し直後に再び低下して行った。その後、ドーパミンは再びcue音開始時まで徐々に増加していった。これらの変化は学習初期より数ヶ月後の方が小さくなっていた。セロトニン放出に関してはドーパミンと反対にcue音と同時に一時上昇し、その後直ちに低下していったが、lever press前にはすでにドーパミンとは違いすでに低下して行った。
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