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モルモット副嗅球(AOB)スライス標本を用い、以下の成果を得ることが出来た。
1.光学計測による成果:AOBの鋤鼻神経層の電気刺激により発生するオシレーションは、GABA_A受容体遮断薬(bicuculline)により持続的な強い興奮へと変化し、消失した。また、NMDA受容体を活性化する無Mg液中でもオシレーションは同様に消失したが、全体的な興奮は減弱化した。続くNMDA受容体遮断薬(APV)投与によりオシレーションは回復した。これらの結果から、オシレーションの発生にGABA_A受容体とNMDA受容体が関与している事が示唆された。
2.スライスパッチクランプ法による電気生理学的実験の成果:僧帽細胞でオシレーションの周期と一致するEPSCとIPSCからなるシナプス電流が記録された。また、顆粒細胞でも同様な周期のEPSCが記録された。僧帽細胞のIPSCと顆粒細胞のEPSCの周期性はそのタイミングにおいてよく一致し、オシレーションをニューロンレベルで明らかにすることができた。
僧帽細胞および顆粒細胞で記録されるEPSCおよびIPSCに関与するレセプターをそれぞれ明らかにするため、種々の関連薬物のパフ局所投与を行った。僧帽細胞のEPSCは大部分non-NMDAタイプであることが、またIPSCは、bicucullineによる消失とGABA投与によるGABA電流の存在からGABA_A受容体を介することが判った。一方、顆粒細胞のEPSCはnon-NMDAとNMDAタイプからなることが示唆された。また、カイニン酸やNMDAのパフ投与でカイニン酸電流およびNMDA電流が誘発され、顆粒細胞でのこれらの受容体の存在が明らかにされた。また、僧帽細胞記録でNMDAやカイニン酸投与を行うと、bicucullineで消失し、-70mVで逆転する群発的かつ周期的な外向き電流が記録された。これは、NMDAやカイニン酸が顆粒細胞のグルタミン酸受容体に作用し、僧帽細胞へのGABA放出を促したと考えられ、顆粒細胞のグルタミン酸レセプターの活性化が実際に顆粒細胞からのGABA放出を促すことが示された。
以上、1.および2.の実験結果は、僧帽細胞-顆粒細胞間相反性シナプス活動がオシレーションの形成に関与することを示唆している。
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