研究概要 |
新生児マウス大脳より単離された新規転写因子Zfh-Xは,胎児脳において,そのセンス鎖RNA(mRNA)のみならず,アンチセンス鎖RNAをも発現している。両者の発現パターンから,Zfh-Xは細胞の移動や分化に関係した機能を持っており,移動中の細胞,あるいは分化初期の細胞では,そのアンチセンス鎖を発現させることによりZfh-Xの発現を積極的に止めている可能性が考えられる。 平成13年度には,この遺伝子の機能,および発現調節機構について詳細に解析するために,次の2種類のノックアウトマウスの作成を進めてきた。 a.センス鎖コード領域を破壊した系統b.アンチセンス鎖転写調節領域と予想される領域を欠損させた系統a.については,現在,遺伝子相同組換えを起こしたES細胞を導入したキメラマウスを作成している段階である。また,b.については,既にヘテロ遺伝子欠損個体が得られている。 また,mRNAレベルだけでなく,タンパク質レベルでの発現の解析を行うために,抗ZFH-X抗体を作成した。これにより,mRNAが発現している部域においても,同時にアンチセンスRNAが発現している場合はタンパク質の発現が認められない,などの新しい知見が得られた。 平成14年度も引き続きノックアウトマウスの作成・繁殖を進めていき,その表現型の解析,ミュータントと野生型個体での関連遺伝子発現の比較などを行っていきたい。
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