1.ENKプロモーター領域を7kbまで含み、intron 1および2の途中までの配列を含むコンストラクトをGFPプラスミドの翻訳領域上流に挿入したプラスミド1(前年度に報告)の他に、ENKプロモーター領域を2.7kbまでを含むプラスミド2を新たに作成した。 2.胎生14日目のマウスから摘出した脊髄スライス標本に、前述の2種類のプラスミドを遺伝子銃を用いて導入した。1〜2晩培養した後、蛍光顕微鏡下に観察した。プラスミド1に比べてプラスミド2の方が、蛍光を発するニューロンの数が多い蛍光を示した。 3.脊髄後角表層に分布する蛍光(+)および(-)のニューロンを採取し、単一細胞RT-PCR法によりENK mRNAを含有するか否かを検討した。蛍光(+)ニューロンの概ね半数がENK mRNAを含有していた。残りの蛍光(+)ニューロンにはENK mRNAが検出されなかった。一方、細胞内に金粒子が見られ遺伝子導入がなされていると考えられ、かつ、蛍光(-)の脊髄後角ニューロンにおいてENK mRNAが検出されるものが散見された。 4.蛍光(+)ニューロンからパッチクランプ記録を行った。膜電位依存性K^+電流(Delayed rectifier、Transient I_A currents、Inward rectifier)が同定された。 5.エンケファリンの発現はcyclic AMPの活性化により増強することが知られている。ENKプロモーター・GFPプラスミド2を導入した脊髄スライス標本を、フォルスコリンを含有する培地で培養し、蛍光(+)ニューロンの数の変化を観察した。フォルスコリン存在下24時間の培養で、蛍光(+)ニューロンの数は16.5±3.5ニューロン/スライスに増加していた。一方、フオルスコリン非存在下24時間の培養では6.1±2.3ニューロン/スライスであった。
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