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本研究では網様体脊髄路及び前庭脊髄路などの下行性投射系による脊髄内に髄節性配置された歩行リズム生成機構の駆動・修飾様式の解明を目的としている。このため本年度は左右後肢歩行リズムの協調的発現に重要な役割を持つ腰髄交連細胞回路の髄節性配置様式について解析を行なった。実験には成ネコを用いた。ネンブタール麻酔したネコを腰椎固定装置に固定し、椎弓切除術を施し腰髄硬膜を露出した。選択露出された後肢筋支配神経にカフ電極を装着し、筋神経の電気刺激で誘発される脊髄背面電位を硬膜上より記録した。脊髄背面電位が最大振幅値を示す髄節の硬膜に数箇所小孔を開け、この小孔を通して記録電極と逆行性神経トレーサー(BDA)注入用ピペットから成る2連ガラスピペットを脊髄内に刺入した。筋神経刺激で誘発される逆行性フィールド電位の記録から運動ニューロン層を同定し、この部位にBDA(20%溶液)を微量(10nl)圧注入した。1-2週間の生存期間後、動物を灌流固定し脊髄を摘出した。腰仙髄部の50μm連続横断切片を作製し、これらをABC/DAB法により反応し、BDA逆行性標識細胞を可視化した。以上の操作を大腿四頭筋・大腿屈筋群・下腿三頭筋・前脛骨筋支配神経のそれぞれについて行なった。これらの連続切片標本をもとに、1)逆行性標識交連細胞の腰髄内分布、2)標識交連細胞の細胞体・樹状突起の広がりについて現在解析を進めている。これらの解析結果から得られる交連細胞群の支配運動ニューロン層の違いによる腰髄内分散配置様式と形態及び脊髄内受容野の特徴から、左右後肢歩行リズムの協調的発現に関わる交連細胞回路の腰髄内構築様式を明らかにする。
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