研究課題/領域番号 |
12680808
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
松本 清司 信州大学, 医学部・動物実験施設, 助教授 (40173893)
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研究分担者 |
田川 陽一 信州大学, 医学部・動物実験施設, 講師 (70262079)
高本 雅哉 信州大学, 医学部・寄生虫学, 講師 (90226928)
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キーワード | 好酸球 / 好酸球増多症 / 免疫異常 / ラット / 寄生虫感染 / モデル動物 |
研究概要 |
好酸球増多症を自然発症するMESラットの系統樹立、病態解析及び好酸球増多のメカニズムを検索する目的で近交化を進めるとともに、寄生虫を用いた感染実験および生理的条件下おいて好酸球増加因子であるIL-5の発現について調べた。 1)系統化については、繁殖が順調に経過し現在16世代を維持繁殖しており、検査した全ての動物で好酸球増多症が確認されている。また、感染症や不妊等の近交化に伴う支障も観察されていない。 2)好酸球が新生幼虫をin vivoで傷害するかどうかを検討する目的で、新生幼虫を感染させ、筋肉内幼虫の回収数を比較した。感染後8週目の筋肉からの幼虫の回収率は、正常ラットで約30%であったのに対し、MESラットでは22%と減少していた。これらの結果より、好酸球増多ラット体内において、好酸球による新生幼虫の傷害機構があることが示唆された。 3)MESラットは生理的条件下ではIL-5の発現がコントロールよりも高かったが、Con Aを投与したてもコントロールと比較してIL-5発現誘導レベルに差はなかった。また、MESラットのCon A誘導肝炎に対する感受性はコントロールに比べて有意に低かった。しかし、IL5トランスジェニックマウスにCon Aを投与したところ、MESラットとは反対にCon Aに対して高感受性であった。このことから、MESラットの好酸球増多やCon Aに対する反応は、単にIL-5の過剰発現によるものでないことが示唆された。 以上、今年度の研究から1)寄生虫感染実験により好酸球による新生幼虫の傷害機構があること、2)本症の発現は単にIL-5の過剰発現によるものではない可能性がそれぞれ示唆された。
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