研究課題/領域番号 |
12680809
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
野口 基子 静岡大学, 理学部, 助教授 (40021951)
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研究分担者 |
徳元 俊伸 静岡大学, 理学部, 助手 (30273163)
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キーワード | マウス / 始原生殖細胞 / 精巣性奇形腫 / 原因遺伝子 / 染色体マッピング / 胎仔精巣 / 生殖細胞特異抗原 / インプリンティング |
研究概要 |
胎仔精巣の始原生殖細胞(PGC)を起源細胞とする分化多能性の腫瘍、精巣性奇形腫(テラトーマ)の原因遺伝子、起源細胞の分子的特性及び形成機構は未だ不明である。そこで本研究においては、精巣性奇形腫の自然発症性及び実験的誘発性の異なるマウスの系統差を利用して研究を行い、次の成果を得た。 1.実験的精巣性奇形腫の原因遺伝子候補を網羅的にマウスの染色体上にマッピングする為に、胎仔巣の移植体に実験的精巣性奇形腫を高率に形成する129/Sv-+/ter(+/+)系と形成率0の系統間のF2および戻し交配胎仔からの精巣に実験的奇形腫を誘発し、奇形腫の有無と胎仔の染色体の各種マイクロサテライトDNAマーカーのPCR産物の系統多型(SSLP)との連鎖解析を行った。その結果、形成遺伝子候補と抵抗性遺伝子候補が幾つかの染色体に複数箇所特定された。更にマウスの組み合わせ系統を変えて、マッピングを完成させる。 2.奇形腫の起源となる特定のPGCや初期腫瘍細胞を検出するために、自然発症性及び実験的奇形腫形成過程を追って、初期胚細胞、PGC及び胚性癌腫細胞に発現する抗原やマウス生殖細胞特異タンパク質をそれぞれを認識する抗体で免疫組織染色を行った。その結果、奇形腫形成初期過程において前者を発現し、後者を消失する細胞が出現した。一方、生殖細胞形成にゲノムインプリントの関与が示された。引き続き奇形腫形成にこれら細胞マーカーや種々の増殖因子の発現とインプリント等が関与するかを解析する。 3.胎仔精巣の体細胞とPGCを分離し、系統間で組み替えた再構成精巣を用いて、実験的奇形腫の形成に関して精巣体細胞に系統差のあることを確認した。更に上記マーカーの消長が精巣体細胞に因るものか解析を進める。
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