研究課題
基盤研究(C)
NERラットは、本邦の野田らが作出したてんかんモデル動物であり、ほぼ全例で全般性強直間代発作Generalized tonic clonic seizure (GTC)を自然発症する。しかも、中枢神経系に顕著な病変が認められず、また繁殖が容易であることから、これまでのてんかんモデルラットにはない優れた特性を保有している。しかしながら、このラットはクローズドコロニー系のCrj : Wistarラットに由来する近交系であるため、現在のところ厳密な対照系統が存在しない。そこで本研究では、GTCの発症に関わると想定される第1染色体上と第5染色体上の2つの原因遺伝子座を標的とすることによって、F344/Nと遺伝背景が同一なGTC高発症系統、およびNERと遺伝背景が同一なGTC低発症系統の確立を企画した。N12F2世代のF344.NER-ner1^<NER>/ner1^<NER>、N11F2世代のF344.NER-ner3^<NER>/ner3^<NER>について、1年間経過観察を行ったところ、GTCの自然発症は観察されなかった。逆に、N10F2世代のNER.F344-ner1^<F344>/ner1^<F344>、N11世代のNER.F344-ner3^<F344>/ner3^<NER>(ner3遺伝子座についてヘテロ型)について、1年間経過観察を行ったところ、GTCの自然発症が観察された。当初の遺伝解析により、NERにおけるGTC発症はner1遺伝子座とner3遺伝子座のエピスタシス効果により引き起こされると推測されていたが、今回の結果はそれを実験的に支持するものである。したがって、今後、両方の遺伝子座をダブルに持つコンジェニック系統を作出することにより、厳密な対照系統が作製できるものと期待される。
すべて 2003
すべて 雑誌論文 (6件)
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